不眠は、一般には、日中の脳の過剰な興奮によって起こります。

さまざまな理由から、日中、「活動」を促す交感神経が優位な状態が続くことで、脳が過剰に働き、そのため、脳が興奮した状態となることがあります(赤色の線)。通常は、夕方以降、「鎮静」に向かう副交感神経が優位な状態となり、脳の興奮が収まってきます。ただ、脳の興奮度が高いと、夕方以降も、脳の興奮度が下がらないことで、さまざまな睡眠障害が起こります。(青色の線は脳の興奮度が正常な場合)
たとえば、寝つきが悪かったり(入眠困難)、眠りが浅く何度も目が覚めたり(中途覚醒)、朝、早くに目覚めたり(早朝覚醒)します。
一般的には、仕事や用事で忙しいなど、それらの活動の質や量が過剰である時、脳の興奮が起こります。つまり、長時間、仕事で脳をフルに働かせ続けた場合です。
次には、心配事や悩み事がある場合です。それらが、一日、頭から消えないこと、それらを考え続けることは、それも脳を過剰に働かせることになるので、脳に興奮をもたらします。
さらに、たとえば、災害の後など、ストレス状況が続き、神経が緊張状態(交感神経優位)のままになっている時にも、脳の興奮は起こります。
精神障害によって脳が興奮が引き起こされた場合にも、不眠が起こります。不眠がある場合には、それが「脳の興奮によって起きている」と推測することができます。
また、旅行などで、寝る環境が変わった時、そのことによる違和感が気になってしまうと、主に、寝つきが妨げられることがあります。
数日くらいの不眠なら、健康には何ら問題はありません。通常、その日に眠れなくても、次の日は、いつも以上によく眠れるものです。ただ、不眠が続くと、脳は疲労からの回復ができないことになり、それに伴う、さまざまなこころや身体の、健康上の問題が出てくる可能性があります。
慢性的に睡眠不足が続くと、糖尿病をもつ人たちの血糖値が上がる可能性があると言われています。また、集中力や気力の低下など、脳の疲労による精神症状が現れます。
【参考資料】
