不眠症は、「不眠への恐怖」から

メンタル・ヘルス

 不眠症」とは?

 不眠症とは、不眠が慢性的に続いた場合のことを言います。

 数日の不眠の場合とか、一時的な不眠の場合、それを不眠症とは言いません。なぜなら、不眠を引き起こした生活環境など、不眠を引き起こした要因が取り除かれさえすれば、ふつう、それでまた眠れるようになるからです。

不眠が続くのは?

 その主要な要因は、不眠への不安や恐怖です。

 眠れないことに対する不安や恐怖がある場合、特に、寝る時間が近づくと、「今夜も眠れないのではないか」といった不安が脳裏をよぎります。そうなれば、考えまいとしても、「眠れるかどうか」とか、「どうすれば眠れるか」など、睡眠についていろいろ考え、脳は忙しい状態となります。また、不安に伴い、神経は緊張状態となる訳で、交感神経が優位な状態となります。

 寝る前に、考え事をしたり、緊張したりすることは、眠りを妨げる要因となる訳ですから、「不眠への不安や恐怖」が、不眠を生み出すといった、「悪循環」となります。

どのような人たちが不眠症になりやすいのですか?

 一つには、「完ぺき主義」的な傾向のある人たちです。

 その人たちは、仕事にも、家庭での日常生活にも、完ぺきを望むので、日中の活動量は多くなりがちで、それが脳の興奮をもたらす可能性があります。そのため、「眠れない」ということが、たびたび起こってしまうのです。

 よく眠れないと、時に、集中力が落ちたり、身体がだるかったりすることもあります。そのような経験をすると、完ぺきを目指している人たちは、「日中のパフォーマンスが落ちるのではないか」といった不安が起こり、それが不眠への不安や恐怖を引き起こすのです。

 二つ目は、気が小さく、心配性な傾向のある人たちです。

 誰しも、心配事や悩み事があれば、多少は眠れなくなるものです。ただ、気の小さい人は、眠れなかった時のことばかりを考え、「また、今夜、眠れなかったらどうしよう」と心配になります。それが不眠への不安や恐怖を引き起こすのです。

 この「性格」に関しては、下記の「ことばのクスリ」の第3章、「新しい性格類型による精神療法」で、詳しく述べられています。

「ことばのクスリ-薬に代わるこころのケア-」:志村宗生;東京図書出版、2023

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