いい眠りのための基本

メンタル・ヘルス

脳を興奮させない

 前の投稿で、不眠の主要な原因は「脳(神経)の興奮」である、と述べました。なので、眠りをよくするために重要なことは、脳(神経)を興奮させないようにすることです。

 まず、日中の生活の中で、脳(神経)を興奮させるものとは、長時間、かつ、過密な「働き方」精神的なストレスに曝される「環境」過剰な心配や悩みなどがあります。だから、そのような生活習慣や環境を変えることや、心を穏やかにすることが、いい眠りを迎えるために必要なことなのです。

 特に、夕食後の過ごし方が重要です。本来は、脳が沈静に向かう時間なので、神経を興奮させるようなことを避けることが肝要です。たとえば、スマホやパソコンでのSNS等の閲覧刺激的なゲーム論争的な会話などは、避けるべきでしょう。

 その代わり、静かな音楽を聴いたり、刺激的でないテレビ番組を観たり、入浴など、就寝に向けての準備をしたりするよう、心がけましょう

緊張を和らげる

 寝床に就いた時、なるべくリラックスしていることが、スムーズな寝つきには役に立ちます。そのための方法について述べてみます。

 夕食後に、のんびりと散歩をすることが、緊張を取り除くことに役立ちます。運動自体は、神経を緊張させるものですが、身体を動かした後に、その緊張は下がるので、寝つきには有効です。

 38~39℃位の、ぬるめのお湯での入浴は、副交感神経を優位にするため、緊張を和らげ、スムーズな入眠に役立ちます。

 呼吸には「腹式」と「胸式」の二通りの呼吸法があります。腹式呼吸は、緊張を和らげることで、寝つきを助けてくれます。ちなみに、腹式呼吸とは、胸郭と腹部の境界にある横隔膜を動かすことで呼吸をするやり方で、横隔膜が下がると肺に空気が入り、横隔膜が下がることで、お腹は膨らみます。この呼吸法を、就寝前や就寝後に続けることで、寝入りを円滑にすることができます。

深部体温を下げる

 体の表面温度(平熱)は、通常、36度くらいですが、体の奥の体温は37度くらいあります。この深部体温が下がることで、副交感神経が優位となり、リラックスすることを眠くなります。

 ですから、就床直前に熱いお風呂に入るのは、眠気を遠ざける原因となります。入浴は、就床2時間前にはすましておきましょう。

 また、寝る時には、深部体温を下げるため、手足を冷やすよう、手足を布団から出すことが、寝つきをよくするコツとなります。手のひらや足の裏には血管が発達していて、車のラジエーターの働きのように、それらを冷やすことで、体本体を冷却します。また、布団の外に出した手足を扇風機で冷やせば、さらに効果的す。冷え性の人でなければ、試してみてください。

「ことばのクスリ-薬に代わるこころのケア-」:志村宗生;東京図書出版、2023

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